「は!?
お前嘘だろ?」

あんぐりと口を開けて、俺のことを凝視しる。

「いや、嘘じゃねぇよ。
つか、正式には、一応行ったな」

「っ…どういうことだよ?」

そう言う雄介の顔が、訝しげなものへと変わる。

「いや…
行ったけど、別に何もなかったんだよ」

約束事を思い出しながら慎重に言葉を選ぶ。

ここで、呪い屋が実在していたことを言えば、俺は、約束事の3つ目…

つまり、呪い屋のことを他人に明かしてはならない、を破ることになる。

でも…どうなんだ?

あの女は仮面を外さなかった。

だから、俺はあの女の顔を知らない。

ついでに言えば、名前も知らない。

なのに…

ここで雄介に言ったところで、明かしたことになるのか?