*悪役オムニバス*【短編集】






良い目で見られているのではない。

それくらいのことは嶺子にだってわかった。


(ここにいたくない)


嶺子は怖くなり、逃げるように右折して暗い道へと入った。

表街道とは違って、古くひと気のない道。

裏小路である。

華やかで都会的な店が立ち並ぶ表街道とは対照的に、裏小路は鈍色を基調としたさみしげな道だ。

車の停められていない駐車場に、シャッターの閉じられた店、人の気配がしない家。


実に閑散としている。