大陸国の中心にある、街の地下。

サナは他のジオの民の女たちと一緒に、狭苦しい牢屋の中にいた。

十畳五間ばかりの牢屋に、十数人もの女がすし詰めに収容されている。

大陸軍の扱いもひどいもので、恐懼のあまりすすり泣く少女の声を聞くなり、看守は鉄格子を強く叩き、


「殺さないだけマシだと思え」


と、無理に押し黙らせた。

それから少しして、戦場で生き残った傭兵たちが、ぞろぞろと牢獄へ隷属の女を買いにやってきたのだった。




サナはそこから買われた。


まだ若い、自身と同じくらいの年齢の少年兵に、だ。


しかし彼は、他の色黒の傭兵に比べるとかなり肌の色が薄い。

身長もいちばん低く、そのうえ髪の色がカラスのように黒い。


他の傭兵ーーーこの大陸国の民は、みな黒い肌に茶色の髪を持っているが、この少年兵は明らかに違う民族のようであった。