朝まで私達は、一緒に居て近くの喫茶店で朝食をとった。


心地よい疲労感が私を支配していた。



彼女がコーヒーを飲んでいる僕の指を見ながら良いねと言ったので何が?と聞くと私が長年している右手薬指の指輪の事だった。



それは、もう十五年近くしている大きめのシルバーリングだった。


特に高くないし有名なブランドでもなかったが、私は気に入っていた。



リングの中央に私の名前の頭文字のNが入っていて手入れはしていたが、随分くたびれていた。


彼女は、それを見てくたびれた感じが渋いと笑顔を見せた。



彼女の笑顔は、私のくたびれてしまったリングをとても素敵な物に変えたように思えた。



私はリングを外すと彼女に渡した。


リングは、そのまま人を殴った事もあるせいか微妙に曲がっていた。


彼女は、細い指でそれを触り見つめて笑顔を見せた。


ロックだねと笑った。