彼女が持って来たCDが、店内に少し大きめの音で響き始めて驚いた。


ホワイトスネイクだったのだ。


デヴィッドカヴァーテイル全盛期の八十年代の物だ。


アルバムのタイトルも曲名も忘れていたが、私はこの頃のアルバムを持っていたしホワイトスネイクを数枚は、持っていたはずだ。


まさか、若い彼女がホワイトスネイクを持って来るとは思っていなかった。


店内にデヴィッドカヴァーテイルのセクシーで情熱な声が響いた。



デヴィッドカヴァーテイルの声のセクシーさは吐息の音なのか?息つぎなのか。


私の母は、この声は吐息系だと言ってましたと彼女が言った。


私はいつの間にか疑問を声に出してしまったようだ。


マスターが、更に音量を上げたのと同時に彼女は、私の横にビールのグラスを持ったまま移動してきた。


彼女が横に座ると二人で自然にグラスを上げた。



何かが、ピタリと柔らかく合わさった気がした。


その音さえ聞こえたように思えた。