彼を一目見てハーフだと分かった。


彫りの深い俳優にしても良いような中年だった。


私が、彼女の友人だと自己紹介すると彼は目を開きそのまま私を抱き締めて背中を何度も叩きながら父だと教えてくれた。



彼は、私を離すと感謝の言葉を何度も繰り返して申し訳なさそうに今は面会は無理だと言った。


彼女は、戦っていた。


私は、前に彼女が喜んだ指輪を外して彼に渡した。


彼は、全て分かったような顔をしてそれを受け取るともう一度私を抱き締めた。


彼が静かに泣いている気配を感じて私も彼と抱き合い静かに泣いた。


私は、帰りの新幹線の中で泣き続けた。