消灯時間がとっくに過ぎた園の中は、もう薄暗かった。
音をたてないように、ゆっくり中へ入る。
廊下を歩いていると、
「……わっ」
薄暗い食堂から人が出てきて、思わず声がでてしまった。
「……壱冴(イッサ)…」
こんな時間なのにまだ制服姿の彼は、雀谷高校に通う一つ年上の男子。
水でも飲んできたのか、口元を袖で拭いながらあたしに視線を向ける。
長い前髪から覗く瞳は刃の様に鋭い。
「今…帰り……?」
「……オマエもだろ」
驚きを抑えつつ尋ねると、それだけをぶっきら棒に放った壱冴は、自分の部屋に向かって歩いて行く。



