「本部に」


「あ。ええと……多分そうだと思います」


自分の意思じゃなくて、ただ飯田さんに連れて行かれるだけ。


この数日、毎日倉庫へ送ってもらって、誰かのバイクで家まで帰る。


そんな繰り返し。


「いいなぁ」


胸にテキストを抱えたまま、淋しそうに床に視線を落とす七海さんに疑問を感じた。


「七海さんは行かないんですか?」


そう言えば、初日以来見てないけど。


烈さんの正式な彼女じゃない麗美さんでさえ毎日来てるんだから、七海さんが来れない理由はないと思う。


あんなに愛されている、琉聖さんの彼女なんだから。




「うん……あたしはたまにしか行けないから……。琉聖に、よろしくね」


そう答えた七海さんはどこか淋しそうで、その理由を聞いていいのかも分からなかった。