親の居ない子や、理由があって親が育てられなくなった子たちが預けられてる、児童養護施設。



「知らない」


こんな言葉を繰り返すのは何度目だろう。


言いがかりにしても幼稚すぎる。


否定するのもいい加減疲れてきた。



職員の目を盗んで日常的に行われるイジメ、暴力。


夜な夜なターゲットになるあたしには理由がある。




あたし、森嶋優月(モリシマ ユヅキ)は、幼いころ両親を亡くし、10歳年の離れたお姉ちゃんと一緒にここへ預けられた。


お姉ちゃんはここのルールにより高校卒業と同時に施設を出て、働きながら一人暮らしを始めた。


数年経ち生活が安定してきた頃、あたしを迎えに来てくれた。


小学6年生の春だった。