これを見て思う。


もうあたしは二度と双葉園に戻ることはない。


……ここがもうあたしの帰ってくる場所で、あたしの居場所なんだと。




「お父さん、お母さん……」


テルさんに買ってもらった写真立て。


その中におさめられた家族写真を眺めて呟く。


記憶のない両親の顔は、この写真1枚だけでしか見ることができない。


綺麗に持っておきたかったはずの写真は、いつの間にか下の部分が破けてしまったけど。


これはあたしのかけがえのない宝物。


これからは、ずっとこうして飾っておけると思うと嬉しい。