「勘違いすんなよ」


……やっぱり、ね。


凌牙はそれほどの男かもしれないけど。


人の気持ちを自由に操れるほど偉いの?


勘違いってなによ。


百歩譲って、自分の女にすることであたしが喜ぶとでも思ったら大間違い。


「勘違いなんて絶対にしてない!あたしは自分の身の程はちゃんと分かってる。なのに、これ以上みじめにさせないでよっ……!」


分かってる。


そんなの痛いほど分かってるのに……っ。


零れそうになる涙を、奥歯を噛みしめてグッとこらえる。


そして、クラスメイト達が聞いたら泣いて喜ぶような命令を、真正面から蹴り上げた。