「オマエ、もう今日は出かけないんだろ」


どことなく弱々しいトーン。


凌牙は酷く疲れているみたいだった。


当然と言えば当然かもしれない。


昨日は……いや、今日の朝方帰ってきて、あたしが降りてきた8時にはもう家を出ていたんだから。


「……うん……そのつもりだけど」


目の下にはうっすら隈が出来ていて、なんとなく見ちゃいけない気がしてサッと視線をずらした。


「寝る、6時になったら起こせ」


そんなあたしを気にすることなく凌牙は目の前を通過し、怠そうに足を階段にかけた。


「あのっ」


「……なんだ」


呼び止めた声に、振り向きもせずに答える凌牙。