「……ああ」


あたしに気づいた凌牙は、空のペットボトルを握りしめたまま瞳だけを動かした。


オマエか……


"そう言えば居たな"くらいの反応に、チクッと胸に針を刺したような痛みを覚える。



凌牙は手の甲で唇をぬぐい。


それから、ふぅ…と肩で息を吐くと、リビングへ回って来た。



……!



凌牙が近づいて来る。


ただそれだけで、全身が張りつめたように緊張した。



「おい」


「な、なに?」


呼ばれて背筋が伸びる。