「ヘマすんなよ」


繁華街の路地裏。


30分張っていても、数人通る程度。


「…大丈夫だよ」


これなら誰にも見つからないはず。


万一なにかあっても逃げ足だけには自信がある。


あたしは頷き車の影から出て、ソロソロとおじさんに近づいて行った。




――おじさん、ごめん…。


お姉ちゃん、ごめん。


お父さん、お母さんごめん。


天国の両親にも心の中で謝りながら、手を伸ばしてバッグを掴んだときだった。




「何してる!」


ドスのきいた声が背後から響いた。