「オマエはこっちだ」


高級車が数台並んでいる中の、一際大きくて眩いほどの輝きを放っている真っ白なセダン。


そのドアを開けて、あたしに乗り込めと言った。



これに乗るの?


顔だけ覗き入れると運転手さんは山科さんで、軽く会釈された。



「…どうも…」


山科さんは、凌牙付けの運転手さんなんだろうか。


「……」


「えっ、なに!?」


凌牙が何かを言っているけど、一斉に吹かされるエンジン音で既に声なんて聞き取れない。


自分の声すら聞こえないくらいの爆音に、鼓膜が破けそう。


手のひらを耳に当てる。