「じゃあ始めるか」


凌牙の合図で、この一帯に緊張が走った。


全員がばらけ、他のメンバー達もそれに合わせてバイクに跨る。


和希は大翔のバイクの後ろに跨った。



「あれっ?」


よそ見をしている間に凌牙を見失ってしまい、右往左往しているとため息交じりの声が聞こえた。


「また攫われてぇのかよ」


凌牙があたしの手を引っ張る。



……大きい、手だった。



もう処女じゃないけど、あたしは本当の意味で男を知らない。


恋だって、したことない。


だからこんな仕草にいちいち胸が反応する。


……ドキドキ、しちゃうんだよ…。