「……」


あたしはなんて答えればいい?



……戻りたいわけがない。



それでも。


あんな地獄みたいな場所でも、あそこを失ったら、あたしは行く場所がない。



「オマエの居場所はあるのか?」


「………」



あたしの、居場所。


そんなものない。


双葉園だけじゃなくて、学校にも。



答えに詰まるあたしに。


凌牙がゆっくり首を振る。




「俺がオマエの居場所を作ってやるよ」




落ち着いた、初めて聞く優しい声……。


少しだけ細めた目は、夕方見たものと同じ、憂いを帯びていた。