カナの足の筋肉は衰えてしまい、手すりにつかまらなければ立っていることはできない。


 それに、腕の筋力も同じように落ちてしまったため、掴まっていられる時間も長くはない。


 今カナは、2本の棒が平行になっている補助具を使って、休憩を挟みながら歩行訓練をしている最中だ。


 それを繰り返し行うことで、筋肉を自然につけるのだそうだ。


 筋トレをした方が筋肉は早くつくんじゃないかなって思って聞いてみたんだけど、それだと歩くために必要な筋肉を効率よく鍛えられないらしい。


 歩くために必要な筋肉は、歩いてつけるのが一番いいみたい。


「ねえ。カナ、すごく頑張ってるね」


「……そうだな」


 さっきから何度も何度も、手すりに掴まりながら汗だくで歩くカナ。


 体力だって落ちているはずなのに、すごい。


 これならすぐに、前と同じように歩けるようになりそう。