「はい、お弁当箱返すね。さっき教室で渡しそびれちゃったから、ここで倉橋くんに会えてちょうど良かった。

倉橋くんの手作り弁当、ほっぺが落ちちゃいそうなくらい、すっごくおいしかったよ。ありがとう」


そう言って中島さんが笑顔で颯太に渡したのは、空になったお弁当箱が入っているのであろう、青色の包み。


「ほっぺが落ちそうなくらいとか、さすがにそれは褒めすぎだって中島」


廊下にはあたしたち以外誰もいなくて、周りはとても静かだから、颯太と中島さんの会話が嫌でも耳に入ってくる。


うそ…颯太、中島さんにもお弁当作ってあげたの?


え、なんで…?