間違いない…あの後ろ姿は颯太だ。

颯太は、こちらに背を向けて歩いているため、後ろにいるあたしには気がついていない。


よし!颯太にそーっと近づいて、後ろから少し驚かせちゃおう。


そう思い立ったあたしは、前を歩く颯太へと向かってゆっくりと一歩踏み出した。

そのとき……



「あっ!倉橋くん」


廊下の反対方向から、同じ1年のショートヘアの女の子が歩いてきて、颯太に声をかける。


あの女の子は確か、颯太と同じクラスの中島(なかじま)さん…だっけ?



「良かった、倉橋くんに会えて。
あのね…」


中島さんは、肩にかけていた通学鞄の中から何かを取り出す。