便せん一枚の短い手紙。
短いけど、何気なさを装っているけど、その文章の中からは、わたしを気遣う気持ちが、ひしひしと感じられた。
その暖かい言葉の裏に隠された想いを考えると、少し、哀しかった。
裕也くん、うちの病院で働くんだ。
そこの箇所だけ、思わず、何度も読み返してしまった。
何年か前に、国家試験を通って、研修医になった裕也くん。
わたしの身体のせいか、おじいちゃんの経営する牧村総合病院には、普通の小児科だけじゃなく、小児循環器科という、先天性心臓病のための診療科がある。
けど、まさか、うちの病院に勤務するなんて、思ってもいなかった。
この前会ったのは、一番近くて、3年くらい前?
その3年前に、ほんの1時間ほど会った裕也くんではなく、脳裏に浮かぶのは、まだ幼い子どもだったわたしが出逢った、高校生や大学生の裕也くんだった。
その頃、裕也くんの隣には、いつも瑞希(みずき)ちゃんがいた。