「陽菜ちゃん、おはよう!」



入学式の日に出会った一ヶ谷くんは、あれから毎日、わたしのクラスに顔を見せる。

もう、三日目。

2年のクラスなのに、気にならないのかな?

当然のように、クラスメイトの視線は集中しているし、学校内は一ヶ谷くんの噂で持ちきりみたいなのに。



「陽菜ちゃん、元気?」

「元気じゃなきゃ、学校来ないよ」



元気じゃなきゃ、学校に来ない。

うん。確かにそう。

だけど、カナ、そんな身も蓋もない言い方しなくても……。



「陽菜ちゃん、部活なに?」

「残念だな、ハルは帰宅部だ」



わたしが答える前に、カナが口を挟む。



「陽菜ちゃん、家どこ?」

「オレの家の隣だ」



言外に、カナが「来るなよ」と牽制する。