「ねえ、カナ」

「ん? どうした?」



ハルがふっと真顔になって、オレを見た。

けど、ハルは何も言わずに、そっと目をそらした。



「ハル?」

「ううん。……何でもない」

「何でもないってこと、ないだろ?」



ハルは相変わらず口が重い。

思ったことの、多分、半分だって口にしていない。



「言えよ。……言わないと、」

「え? 言わないと?」



思わせぶりなオレの言葉に、いったい何が飛び出すのかとハルが待つ。



「キスするぞ!」

「ヤダ、カナったら」



オレの言葉を冗談だと思ったのか、ハルはクスクスと笑った。



「本気だよ?」



とハルの頬に手をやると、ハルは慌てて、オレの口を両手で押さえた。