「じゃあ、ハル、また夕方来るね」



思いもかけず、目が覚めたらカナがいた。

朝一番からカナがいて、カナの声が聞けて、カナに触れられて……。

それが、こんなに幸せだなんて、思ってもみなかった。



「うん。待ってるね」



心の底からの笑顔でそう言うと、カナはわたしをギュッと抱きしめ、耳元で、


「次に会う時は、今よりもっと元気になってるかな」


とささやき、頬にキスをした。



「気をつけてね」

「ハルもね」



その言葉に、病院でいったい何に気をつけるのかしら、と思っていると、カナは笑顔で手を振り、ドアの向こうにいなくなった。



その時は、まさか本当に最後の嵐がやってくるなんて思ってもみなかった。