トントン。



ふいに、病室のドアがノックされた。



「どうぞ」



朝食かなと思って、ハルの代わりに返事をした。

けど、すぐに開けられるはずのドアは音沙汰なし。



「あれ? 空耳? ノックの音、聞こえたよな?」

「うん。……隣の部屋のだったかな?」



そんなわけないだろ、と思いつつ、不思議そうに首を傾げるハルが可愛かったから、誰も来ないならちょうどいいやとばかりに、ハルに軽くキスをした。

もう、と言いながらも、ハルは嬉しそうにオレに身を寄せてくれた。



いい年して、同じミスをしたら、もう二度とゆるしてもらえないだろう。

その少し後に届いた朝食を、ハルが食べるのを見届けると、オレは朝からハルを堪能し、満たされた気持ちで学校へと向かった。