「懐かしいね。……9年前、かな?」
「ホント、懐かしいな」
ハルと顔を見合わせて笑いあう。
オレたちが重ねてきた時間は、本当に長くて、12年と1ヶ月にもなる。
あの時も、ハルはようやく体調が回復したところだった。
病院に飛んで来たお袋にオレがこっぴどく怒られるのを見て、ハルは、
「カナ、制服着てたのに、わたし、ぜんぜん気がつかなくて……。本当にごめんなさい」
って、お袋に謝った。
それに対してオレが、
「ハルは何も悪くないからっ!」
と口を挟んだところで、お袋は「しょうがない子たちね」と苦笑い。
けっきょく、登校前の面会は禁止、と釘を刺されるだけでゆるしてもらえた。
GPS付きのケータイも持たされたけど。
もっと早くに持たせれば良かったってのは、お袋の言葉。
バス通学ったって、本当なら自転車で通える距離。1年までは兄貴も一緒だったのもあって、親もまだいいかって思ってたらしい。