「一つ、釘を差しておくか。なかなか良い感じに出鼻をくじいたとは思うが、悪あがきも仕返しも怖いからな」
どこから来るのか不思議だけど、自分に自信があったらしい篠塚のプライドは、オレの冷たい態度で砕け散ったと思う。
オレへの好意はすっかり消え失せただろう。
だけど、逆恨みされないとは限らない。
「できる?」
「やってやれないことはないだろう。この上、また何かあったんじゃ、牧村さんに申し訳が立たんしな」
そう言ってから、親父はオレの方を見てニヤリと笑った。
「大体、そうして欲しくて、わざわざ報告しに来たんだろう?」
「あ、バレてた?」
「ああ。私が言い出さなきゃ、おねだりしただろ?」
「ははは。……してたかな」
笑って言うと、親父は機嫌良くオレの肩にポンと手を置いた。
「また何かあったら、忘れず話に来い」
「了解っ!」