……瑞希ちゃんは、何を願ったんだろう?



「忘れて欲しい」ではなく、「忘れていいよ」だったから、

忘れることに罪悪感を持つことはないよ、

きっと、そう言いたかったのだと思う。



裕也くんは瑞希ちゃんを忘れてはいない。

だけど、ちゃんと気持ちは未来を向いている。



寂しいなんて思わなかった。

裕也くんの言葉に、ただホッとした。



わたしがいなくなった後のカナが、嘆き悲しむ姿なんて想像もしたくなかった。

少しは仕方ない。

少しの間は、きっと悲しんだって仕方ない。



だけど、いつかはちゃんと思い出にして欲しい。



裕也くんの中で、瑞希ちゃんの存在はまだ大きい。

でも、いつでも思い出になる準備はできている。



ホッとしたら気が抜けたのか、急に強い眠気に襲われた。