声を出したら、泣いてしまいそうな気がして、何も言わずにいると、裕也くんは、 「陽菜ちゃん? 寝ちゃった?」 そう言いながら、そっと脇の下に熱冷ましのための氷のパックを挟んでくれた。 気持ちいい。 思わず、また吐息が出る。 「陽菜ちゃん? 大丈夫?」 裕也くんが気遣わしそうに、わたしの頬に手を当てた。 「……忘れられた?」 思わず、本当に、思わず、ポロリとこぼれ落ちた言葉。 しまったと思ったけど、取り消す元気もなかった。