そうして、ようやく思い出した。
保健室で寝ていたら、カナのことを好きだという女の子と一ヶ谷くんが来て……。
女の子が帰っていった後、一ヶ谷くんと話をしていて……。
それから、話している最中に急に気分が悪くなって、我慢できなくて……。
一度は失われた意識も、繰り返し名前を呼ばれ、何度も浮き沈みを繰り返した。
気がつくと、いつもカナが手を握ってくれていた。
それだけで、なぜか大丈夫だという気がした。
……カナ。
あるはずがないと思いながらも、その手を探した。
やっぱり見つからず、分かっていたにも関わらず、何だかとても寂しかった。
どれくらい、意識を失っていたんだろう?
今が、金曜日の夜なのか、土曜日の夜なのかさえ分からなかった。



