「忘れられるわけない! 瑞希なしに、幸せなんてっ」
「オレより、長生きするって、言ったじゃないか!」
「オレに診察させてやるってっ、早く一人前になれって……」
「こんなに早くに別れることになるのなら、もっと側にいればよかった」
裕也くんの囁くような小さな声。
嗚咽と共に絞り出される悲しい言葉。
周りの人は、号泣する裕也くんを見て、すすり泣いた。
遺影の中の瑞希ちゃんは、輝くような笑顔で。
それは、いつか見せてもらった、裕也くんとのデートの時の写真で。
瑞希ちゃんの隣には、本当は裕也くんがいたはずだったのに、
つないでいた手は、ほどかれて、
二度と戻らない……。
わたしは、ポロポロと涙をこぼし、ただ、立ち尽くすしかできなかった。
わたしの告げた言葉で、裕也くんが号泣する。
その姿を目の当たりにしても、幼いわたしにできることは、何もなかった。



