「わたしのこと、好きになってくれてありがとう」
ハルは静かに礼を言って、一ヶ谷の返事を待たずに続く言葉を口にした。
「でもね、もう、おしまいにして欲しい」
「陽菜ちゃん!?」
「何があっても、わたしが一ヶ谷くんの気持ちに答えることはないから」
「でも!」
「ないの」
ハルはきっぱりと言い切った。
「わたし、カナとの時間を大切にしたいの。
本当に好きなの。
だから、邪魔しないで欲しい」
ハル!!
つきあい始めてから、もうすぐ一年。
ハルがこんなにもはっきり、誰かにオレへの想いを伝えてくれたのは初めてだった。
嬉しくて、愛しくて、思わず抱きしめたくなったけど、さすがに今はダメだろうと自制した。



