その言葉に、志穂が保健室のドアの前に立ち、斎藤も一ヶ谷の方に一歩踏み出した。
「一ヶ谷くん」
ハルの声に、一ヶ谷は小さくため息を吐いて、ようやくハルの方に目を向けた。
「こっち、来て?」
ハルが小首を傾げて、そう言うと、一ヶ谷は素直にハルの元へと向かった。
「……陽菜ちゃん。……ごめん」
「ううん。一ヶ谷くんを責めようと思って呼んだんじゃないの」
うつむいていた一ヶ谷が、その言葉に顔を上げた。
けど、ハル、オレははっきり言って、どうしてこんなことをしたのか、尋問したいぞ!
「わたし、やっぱり、自分がちゃんと言わないといけないんだって思って……」
ハルが一ヶ谷の目を覗き込むように見た。



