そして、大きく腕を振り上げて、未だ律儀に続いていた斎藤の呪縛を解くと、



「サイッテー!! あんたなんて、二度と顔も見たくないわ!!」



篠塚は、吐き捨てるように、オレに言った。

それから、まるで湯気が立っているかのような怒りを全身にみなぎらせて、きびすを返すと、大きな足音を立てて出入り口へ向かい、乱暴に保健室のドアを押し開け、そのまま外に出ていった。

こちらを振り返りもしなかった。

跳ね返ったドアが、大きな音を立て、ハルが小さく肩をすくめた。



志穂も斎藤も、篠塚が出ていった後の出入り口を呆然と見ていた。



一気に静かになった保健室。

残るもう1人の問題児が、どさくさに紛れて部屋を出ようとしていた。



「じゃあ、オレもこれで……」

「待って! 行かないで!」



今度も、止めたのはハルだった。