13年目のやさしい願い



「陽菜!! ……って、あれ?」



ハルを心配して飛んできた志穂が、オレたち4人を見て、間が抜けた声を上げた。



保健室には、電話で話せないくらい具合の悪いハルがいるはずで、

オレはその介抱をしているはずだった。



けど、ハルは顔色こそ優れないけどベッドに起き上がっていて、

オレは怖い顔をして、その場にいる男女2人をにらみつけている。



「広瀬、これ、どうなってんの?」



斎藤が不思議そうに、一ヶ谷と篠塚を交互に見た。



次の瞬間、篠塚が憎々しげな顔でハルをにらみつけ、一言、吐き捨てるように、



「最低」



と言ったかと思うと、くるりとオレに背を向け、駆けだした。



「斎藤くん! その子、捕まえて!!」



叫んだのは、ハルだった。