この子とカナの間に何があったかなんて、わたしは知らない。



そして、わたしが何を言ったって、カナから直接言われたんじゃなきゃ、この子はぜったいに諦めない。

……カナじゃなきゃ、断れない。



でも、カナと話す気なんて、この子にはない。

そうでなきゃ、わたしにカナと別れろなんて言わない。

カナに、わたしと別れてって言って、カナがOKすれば、それで済む話なのに、カナではなくわたしに言いに来たんだから……。



こんな思いは二度としたくない。

今日で、今で、終わりにしたい。



……カナ。



もし、この子が逃げたら追いかけられない。

わたしには、彼女を引き止める術がない。




反射的に、わたしは枕元に手を伸ばした。

手に触れた携帯電話のボタンを2つ、何も言わずに、後ろ手に押した。



そんなことが、

そんな小細工が、自分に出来るなんて思ったこともなかった。