「教室、行こうか」



カナが勝ち誇ったような笑顔でわたしを促した。

その手には、相変わらず、わたしの学生鞄。



「うん」



カナはわたしの手を引いた。



ねえ、カナ。

知ってるよね?



わたし、カナと同じクラスがイヤだったんじゃないよ。

また一年、一緒にいられるってこと、本当に嬉しいんだよ。



カナの手のぬくもりを感じながら、わたしは自分の心がほんのりあたたまるのを感じた。



いいんだ。

先生たちが、これがいいって思って、そうしてくれたのなら。



犬猿の仲でいつもケンカしてるような2人がいたら、クラスを分けるような采配は、きっとされている。

わたしみたいに手の掛かる生徒を、進んで面倒見るカナみたいな生徒と同じクラスにしようっていう考えがあったって、おかしくないと思うもの。



実際、去年までは、わたし、カナとずっと同じクラスなのは、そういうことなのかなと思ってたもの。