疲れた。

……なんか、すごく疲れちゃったな。

求めていないのに寄せられる好意が、こんなにも重いなんて知らなかった。



他の男の子のことなんて、考えられない。

考える元気もない。

……カナのことだけを考えていたい。

……カナだけを見ていたい。



毎日の生活だけで、もういっぱいいっぱいなのに、相手が好意だけに、これ以上、どう押し返して良いのかが分からなかった。






「……ら。……牧村」



「ハルちゃん」



後ろの席の子に、背中をツンツンとつつかれて、ハッとして、慌てて伏せた顔を上げる。



「なあに?」



振り向くと、



「違う違う! 前、前! 当てられてるよ」



と、小声で教えられた。