「おばさん、医者だったんだね~」



思わず言うと、おばさんは不思議そうにオレの顔を見た。



「何を今さら?」

「いや、診察してもらったの始めてだったからさ」



横から見てるのと、自分が診察してもらうのとでは大違い……と続けようとしたら、お袋がたしなめるように、「叶太」とオレの名を呼んだ。

看護師さんも面白そうにオレを見ていた。



「大丈夫。患者さんとも普通に、おしゃべりすることあるし」



笑いながら、おばさんがお袋に言った。



「そう?」

「ま、でも、叶太くんと、何もここで雑談することはないわよね」



そう言うと、おばさんはオレの方に視線を戻した。



「おしゃべりは、家でしましょうか?」