え? なんで斎藤くんが?



「叶太くんが、休みだと、斎藤くんが出てくるんだ?」



田尻さんがおもしろそうに言った。



「ああ、いや、オレ、広瀬に頼まれたからさ」



カナ!



朝は、裏口で羽鳥先輩が待っていて、教室まで送ってくれた。

お昼休みには、しーちゃんが一ヶ谷くんを追い払った。



この上、斎藤くんまで!?



「ご、ごめんね。あの、大丈夫だから……」



慌てて謝ると、斎藤くんは真顔で言った。



「でも、牧村、さっきふらついてなかった?」



そんなところまで見てたの?

居たたまれなくなって、思わず、身体を小さくした。



「ち、違うの。……えっと、田尻さんと話してて、あの、わたし、考えごとしてて、それで………」



しどろもどろになって、説明をしようとすると、斎藤くんはニコッと笑った。



「そっか。うん、何ともないなら、いいんだ」



田尻さんが笑いながら、口を挟む。



「ほら、先生、こっち見てるよ。戻った戻った」

「じゃ、行くけど、何かあったら、声かけろよ?」



そう言うと、斎藤くんは軽く手を振り、グランドへと駆け戻った。