13年目のやさしい願い



その言葉に、呼び起こされる苦い記憶。



4月の終わり、田尻さんに呼び出された。

気持ちよく晴れ上がった青い空の下。

彼女から告げられた言葉で、わたしの心は凍り付いた。



「叶太くんを解放してあげて!」



「いつまで、縛り付けるの!?」



「叶太くんが、なんで、あなたのことを、あんなに世話を焼いていると思ってるの!?」



「叶太くんが、なんで、あなたに優しいと思ってるの!」



「あなたの身体のこと、責任を感じているんじゃない!!」



あの時に投げつけられた、田尻さんの言葉が、

脳裏に浮かんでは消える。



誤解だったって分かってる。

もう終わったことだって、分かってる。



だけど、思い出すと、胸が締め付けられるように、苦しかった。