その言葉に、呼び起こされる苦い記憶。
4月の終わり、田尻さんに呼び出された。
気持ちよく晴れ上がった青い空の下。
彼女から告げられた言葉で、わたしの心は凍り付いた。
「叶太くんを解放してあげて!」
「いつまで、縛り付けるの!?」
「叶太くんが、なんで、あなたのことを、あんなに世話を焼いていると思ってるの!?」
「叶太くんが、なんで、あなたに優しいと思ってるの!」
「あなたの身体のこと、責任を感じているんじゃない!!」
あの時に投げつけられた、田尻さんの言葉が、
脳裏に浮かんでは消える。
誤解だったって分かってる。
もう終わったことだって、分かってる。
だけど、思い出すと、胸が締め付けられるように、苦しかった。



