13年目のやさしい願い



「だ、だからね。

心臓が悪くないって状況になったことがなくて、

この身体が普通の状態だから、なんて答えたらいいのか……」



そう。わたしには、分からないんだ。

「健康」ってのが、どんなものなのか。



「……あ、そっか」



田尻さんが、わたしをマジマジと見た。



「まいった。

……イヤな顔して、ごめん」



田尻さんは、眉を寄せると、わたしから視線を外して、スッと自分の髪の毛をかき上げた。



少しの間の後、もう一度、わたしの方を見て、田尻さんは、真面目な顔をして言った。



「これでも、反省してるんだ、わたし」

「反省?」

「そう。……牧村さんが、わたしのせいで、死にかけたって聞いてから」