「だ、だからね。
心臓が悪くないって状況になったことがなくて、
この身体が普通の状態だから、なんて答えたらいいのか……」
そう。わたしには、分からないんだ。
「健康」ってのが、どんなものなのか。
「……あ、そっか」
田尻さんが、わたしをマジマジと見た。
「まいった。
……イヤな顔して、ごめん」
田尻さんは、眉を寄せると、わたしから視線を外して、スッと自分の髪の毛をかき上げた。
少しの間の後、もう一度、わたしの方を見て、田尻さんは、真面目な顔をして言った。
「これでも、反省してるんだ、わたし」
「反省?」
「そう。……牧村さんが、わたしのせいで、死にかけたって聞いてから」



