13年目のやさしい願い



ちょうど半年ほど前。

高校一年生の秋。

まだ、肌寒い程ではなく、夏の盛りのうだるような暑さは終わったという、過ごしやすい季節だった。

その日も、今と同じ場所で、足首を捻挫したという田尻さんと、並んで座っていた。

その頃には、顔を合わせれば、笑顔であいさつを交わすくらいにはなっていた。



田尻さんは、「体育好きなのになー」なんてぼやいていたかと思うと、突然、わたしの方を見ると、真顔でこう言った。



「ねえ。心臓悪いって、どんな感じ?」

「……え?」



あまりに唐突、しかもザックリした質問。

驚いて、ポカンと田尻さんを見返してしまった。



「……あの、どうして?」

「どうしてって、わたしにはまったく縁のない世界だから、どんな風かなって思っただけなんだけど」