「ぼーっとしてたのは、叶太くんが休みだから?」

「え?」

「違うの?」

「じゃあ、……一年生の横恋慕くんのせい?」

「よ、横恋慕くん!?」

「あれ? それも違うの?」



田尻さんが不思議そうに首を傾げた。



答えにくくて、思わず話題を変えてしまった。



「……田尻さんは、なんで見学なの?」

「ん? 足首。また、やっちゃった」



言われて見ると、右の足首に分厚くテーピングが巻かれていた。



「クセになっちゃってるみたいで、しばらくは部活も体育も見学して、しっかり治せって。

イヤんなっちゃう」

「痛い?」

「そりゃ、ま、痛いよ。普通に」

「そっか」

「あ、もしかして、牧村さん、捻挫ってしたことない?」

「うん」



わたしは走れないから、足首をひねるようなこともない。