今日も空は青く澄んでいた。



グランドの隅には、すっかり葉っぱだけになってしまった桜並木。

あの木立の向こうには、大学の校舎。

カナのお兄さん、晃太くんはそこに通っている。



制服を脱いだカナと自分が、大学に続く道を歩く姿を想像しようとしたけど、なぜか何も思い浮かばなかった。



「何、考えてるの?」



隣からの声に、慌てて、そっちに視線を向けた。



月曜日の午前中。体育の授業。

わたしはいつものように見学で、校庭の端っこにある大きな木の下、花壇のブロックに腰掛けていた。

隣には、同じく見学組の田尻さん。

偶然にも、今年も田尻さんとは隣のクラスで、体育が一緒だった。