ハルにゼリーと野菜ジュース、自分にせんべい一袋。
売店のビニール袋を手に病室を開けると、
「おかえり」
ベッドサイドに白衣の先生がいた。
「わっ! すみませんっ!!」
患者のはずのオレが不在で、別の子が寝てる……って、やっぱ、まずいよな!?
慌てて言ったのに、その先生は笑いながら言った。
「慌てなくていいよ。別にとがめやしないから。
……って言うか、寝かせてあげてくれて、ありがとう」
「え?」
「久しぶり」
「……え?」
オレは慌てて先生の名札を見た。
浅木裕也。
……浅木、裕也?
「え!? 裕也さん!?」
思わず、マジマジと顔を見る。
「ははは。久しぶり。昨日も会ったんだけどね、ごめんね、急いでたからあいさつもできなかったね」



