その言葉に、先輩が吹き出した。
「漫才って、なに!?」
「……おい、志穂」
「ごめんごめん」
言うに事欠いて、漫才はないだろ? 漫才は……。
と思ったけど、クラスメイトから、オレと一ヶ谷の会話が面白がられているのは確かだ。
「まあいいや。……そう。志穂、漫才やってきて」
「本気!?」
「だって、他に頼めるヤツ、いないし」
「ええ~、でもさ~」
ためらう志穂に追い打ちをかける。
「志穂、ハルの親友だろ?」
志穂が口をとがらせてオレを睨んだ。
だけど、オレがいない間、一ヶ谷を放置したら大変なことになるだろ?
言わなくても、志穂にも分かっている。
ふくれっつらはきっとポーズで、すぐに笑顔に変わった。



