「ところで、頼みって何?」
ハルを寝かして、部屋の奥にあるソファに志穂と先輩を誘導した。
お茶を用意して戻ると、志穂が不意に聞いてきた。
「あー、それね……」
なんて言おうか、思わず言葉に詰まっていると、先輩が助け船を出してくれた。
「もしかして、一ヶ谷のこと?」
「えーっと。……はい」
先輩の苦笑いを見て、オレは頭をかいた。
「寺本」
「はい」
「広瀬はキミに、一ヶ谷の魔の手からハルちゃんを守ってあげて欲しいんだって」
「は? ……ああ! あの朝と昼の!?」
「そう、あれ」
オレが頷くと、志穂は目を見開いた。
「ちょっと待って。って、ことは……ええ!?
わたしが叶太くんの代わりに、一ヶ谷くんと漫才やるってこと!?」