数秒の間のあと、女の子のお父さんが口を開いた。



「都合も考えずに来てしまって、申し訳なかった。

私たちが失礼しましょう。ご両親には、改めてお詫びに伺います」

「え!? いいですよ、そんなの」

「いや、そうは行きません。娘のために、大事な息子さんにケガをさせてしまったんだ」

「ケガってほどのケガはしてませんし。明日には、もう退院ですから。

本当は今日でも良いくらいだけど、日曜日は事務が休みで退院できないからってだけで」

「とんでもない! 交通事故にあって、意識不明で救急車で運ばれて入院ってだけで、十分、大事ですよ」

「そんな大げさなものじゃ、ないですから」