「いったいどうしたのって聞きたかったのに、入院って言うから電話できないし、メール送っても返事来ないしさ」
「悪い。寝ちまってた」
カナの笑い声が聞こえる。
起きなきゃという思いと、未だ夢の中にいるようなふわふわした身体。
「ハルちゃんは?」
「疲れたみたいで、寝ちゃって」
「大丈夫?」
「こっちで寝るか聞いたんだけど、いいって断られちゃって」
「あはは。そりゃ、陽菜だってイヤでしょう」
「ところで、何でまた交通事故なんて?」
「いや、交差点で信号待ちしてたら、車が突っ込んできて」
「そりゃ、災難だったな」
「それでよく、そんだけのケガですんだね」
カナとしーちゃんと先輩。
眠っているわたしに気を遣ってか、小さな声で話す。
ごめんね。
いいんだよ。大きな声で話して……。
思うだけで、言葉にはならない。
夢うつつ。
3人の会話は、ふわふわと漂い、流されていった。
トントントン。
不意に、ドアがノックされる音が聞こえて、会話が中断された。



